「わかったつもり」が一番危ない理由

「わかる」と「できる」は違う
勉強をしていると、「ああ、これ知ってる」「これは前にも習った」と感じる瞬間があります。問題の解説を読んだときや、授業を聞いたときに、「なるほど、わかった」と思うことは誰にでもあるでしょう。しかし、その「わかった」という感覚は、本当に理解できているという証明にはなりません。実は、ここに大きな落とし穴があります。
よく言われることですが「わかる」と「できる」は、似ているようで別のものです。説明を聞いて納得することと、自分の力で正しく解答を導き出せることは、明確に異なる段階です。特に数学や理科、国語の読解問題などでは、自分が理解したと思っていた内容を、いざ自分で解こうとするとまったく手が動かない、という経験をした人も多いのではないでしょうか(筆者もその一人です)。
この「わかったつもり」の状態は、自分では理解していると思い込んでいるため、それ以上深く考えることを止めてしまいがちです。そして復習のタイミングでも、「ここは大丈夫だから飛ばそう」となりやすく、結果として本当の理解や定着が進まないまま時間だけが過ぎていってしまいます。これは非常に危険な状態です。
なぜ「つもり」になってしまうのか
では、なぜ多くの人が「わかったつもり」になってしまうのでしょうか。それは、勉強における「受け身の姿勢」に原因があります。授業を聞いて、ノートを取って、解説を読んで満足してしまう。これでは自分の頭で考える時間が圧倒的に足りません。言い換えれば、「わかる」という受け身の感覚に安心してしまっているのです。
また、「わかったつもり」の背景には、失敗を避けたいという心理もあります。問題を実際に解こうとすると、間違えるかもしれない。自分が本当は理解できていないことがバレてしまうかもしれない。だから、表面的な理解のままで満足し、深く掘り下げることを避けるのです。これは無意識のうちに誰もがやってしまう心の動きです。
さらに、「わかったつもり」を招く原因として、解き方のテクニックやパターンを「覚えただけ」で満足してしまうことも挙げられます。もちろん基本的な解法パターンや考え方を習得することは、学習の第一歩として重要です。橋本塾でも、まずは標準的な解き方をしっかり身につけることを重視しています。しかし、それだけで学習が完結するわけではありません。大切なのは、覚えた知識を「自分で使える」段階に引き上げていくことです。パターンを覚えた後に、自分の力で繰り返し使ってこそ、本当の理解と定着が生まれるのです。
「わかる」から「できる」への橋を渡す
「わかったつもり」を脱するためには、自分の頭で考え、自分の手を動かすことが何より大切です。授業を聞いたあと、解説を読んだあとに、「じゃあ自分で解けるか?」と問い直してみること。問題文を閉じて、自力で説明できるか確認すること。この小さな確認作業が、表面的な理解を本物の理解に変えてくれます。
実際に伸びる子は、必ず自分で一度試してみます。そして、間違えた理由を言語化し、どこでつまずいたのかをはっきりさせようとします。この姿勢が、思考力と理解力の両方を育てるのです。また、他人に説明してみるのも手です。人に教えることで、自分の中で曖昧な部分が浮かび上がり、「わかったつもり」が暴かれていきます。
「できるようになった」と実感できるまで、自分なりにやってみること。その繰り返しが、成績の土台を支えます。勉強は情報を知ることではなく、知識を使える状態にすることです。確かに面倒な作業です。しかし、その過程を避けてしまうと、テストで「見たことあるけどできなかった…」ということが繰り返されてしまうのです。
「本当にわかったか」を測るには
では、自分が本当に「わかっている」のかどうかは、どうすれば確認できるのでしょうか。一つの方法は「説明できるかどうか」です。たとえば、「なぜその解き方を選んだのか」「どうしてこの答えになるのか」を誰かに説明できるかどうかで、理解の深さがわかります。自分一人の勉強でも、ノートに言葉で書き出してみるだけで、思考の整理につながります。
また、同じ単元の別の問題を解いてみることも有効です。典型問題だけではなく、少し視点を変えた応用問題に取り組むことで、理解が本物かどうかがすぐにわかります。こうした「変化球」に対応できるかどうかが、「わかった」から「使える」への成長を測る物差しになります。
もう一つ重要なのは、「時間を置いて試す」ことです。1日後、1週間後に同じ内容をもう一度解いてみたときに、自力で答えを導けるかどうか。記憶に残っていて、自分の言葉で再構築できるなら、それは本当の意味で理解しているといえるでしょう。
知識は「自分のもの」にして初めて力になる
「わかったつもり」の状態は、中途半端に自信を生んでしまう分、実はとても厄介です。本当はわかっていないのに、「もう大丈夫だ」と思ってしまうからこそ、学びの手が止まり、成長が止まります。その感覚が続くと、成績が伸び悩んだときに「頑張っているのになんでダメなのかわからない」という事態を招いてしまいます。
学びは常に「自分に問いかけること」から始まります。本当にわかっているか? 自分の言葉で説明できるか? 別の問題にも応用できるか? こうした問いを重ねることで、知識は単なる情報ではなく、使える「武器」へと変わっていきます。
見せかけの「理解」に安心せず、一つひとつの理解を自分の力で確かめながら積み上げていく。この姿勢が、確かな学力を育て、やがて大きな自信へとつながっていくのです。学ぶとは、自分と向き合うこと。今日もまた、「本当にわかっているか?」と、自分に問いかけるところから始めてみましょう。
橋本塾では対話を通じて、「本当にわかっているのか」を確認しながら次へ進めることを重視しています。自分でうまく行かない場合は、是非ともお気軽にご相談ください!皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。
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